聞法会:
八月の盂蘭盆会法要と十一月の報恩講法要 を除く各月一回開催しています。内容は京都市 下京区の「すねいる教材研究社」発行の法話 テープ集の中から良い話を選んで聴聞させて頂 いております。お話の中で難しい所や質問が有った際は補足説明させて頂き、分かり合えるよう努力しております。
体験談1:
歎異抄第十八章に「親鸞聖人の常の仰せには、弥陀の五劫思惟の願をよくよく案ずれば、ひとえに親鸞一人が為なりけり。さればそくばくの業をもちける身にてありけるをたすけんとおぼしめしたちける本願のかたじけなさよ」とあります。
まず私の記憶のなかに西遊記があり、物語のはじめは天上界を荒らし回っていた孫悟空が如来と賭けをした。それは如来の手から抜け出せたら天上界を我がものに出来るが抜け出せぬ時は罰を受けるというものだった。悟空は「承知した」と
言うが早いか、キント雲に乗って空を駆け、そろそろ天の端と思える所に五本の柱が立っている。その真ん中の柱に「悟空ここに来たれり」と記念に書き付け、得意になって戻って来ると、如来に一喝された。何と、柱だと思ったのは如来の手の中指でそこに悟空の書いた文字が有る。悟空が慌てて逃げようとした時五行山が現れて悟空を下敷きにして逃げられぬようにしてしまった、云々と言う事でした。
次にある仏跡巡りをしていた人が仏像の手の平の上で踊っている裸婦の姿を見られてすぐに悟ったと。
この二つの事で感ずることは、如来の慈悲は広大無辺であって、人が如何なる振る舞い、恥ずかしい振る舞いをしても、それは如来の手の中での事であり、如来は決して手から落とさない、と言う事です。「何と有り難い事か」の一語に尽きます。弥陀はあの手この手を使って、「一人が為なりけり」を実感させようとしていられる。弥陀は私一人助ける為に五劫と言う人間の想像もつかない長い長い年月を掛けて思惟して頂いて本願を立てて下さった。私のような何をやってもろくな事の出来ない性悪な愚か者に迄よくぞよくぞ本願を立てて下さった。感謝してもしきれない私なのです。
阿弥陀如来は人間をすべて知り尽くしての上で大慈悲を掛けていられるので、人間側の仏の教えが分かったとか分からないとかの事情を問題になさいません。私たち一人一人を丸ごと助けられるのです。
体験談2:「悪人正機」
歎異抄の三
章に「善人なほもて往生をとぐ、いわんや悪人をや。」と有り、その訳は「善人でさえなお阿弥陀仏の浄土に往生をとげることができる、まして悪人はいうまでもないことだ。」と言う事であります。で、ここで言う善人悪人とはどういう人を言うのでしょうか。そこで字典を開いて見ま したら、善人とは身口意に於いて正しい行いをする人と有り悪人とはその反対で身口意に於いて悪い行いをする人と有ります。 と言う事になれば、良い事を考え良い事をしても損得感情で行った行為を誉められたいと思えば悪人になります。思わなければ善人でしょうが、そうは行きません。前に、法事に出掛けた折り一軒のお檀家でこんな事が有りました。その家の玄関の網戸を開けた時、蚊が一匹一緒に入ってしまいました。その蚊は私に付きまとい離れようとしません 。とうとうお仏檀の前までついて来て私に噛み付こうとしています。私は咄嗟の事でうしようか迷いましたが、後ろで聴聞している人の方へ両手で追いやってしまいました。それでやっと気分良くお勤めを済ませる事が出来ました。とその時です。自分は何と恐ろしい人間なのか、聴聞している人が困っても自分さえ良ければいいのかと。立派な 装束を付けていながら何を考えてるんだ、それこそ悪人ではないかと。このような事に気付きまして、悪い事をしたと思い、聴聞者に謝ったと言うような体験を致しました。 これらは私の毎日の生活のほんの一駒に過ぎません。自分の体験を通しても、どのようにか我がままな行為を繰り返しているか分かりません。
果たして心に正しい事を思い、 言葉に出し、行為をすると言う善人なる者がこの世に存在するのでしょうか。お彼岸の布施の行為は理想でしょう。布施した物に執着しないなんて。となればこの世には善人は理想で有り、悪人のみの世界でないかと思われるのです。しかし考えて見れば、私に悪人を自覚させてくれたのは聴聞者で有り、その人は私にとって仏様で有ります。頭を下げて合掌した事で有ります。私は悪人と気付いて嬉しかったのです。聴聞者に感謝したかったのです。そこで私の心に聞いて見ると、他人から「お前は悪人だ」と決め付けられればしんにの煩悩が燃え盛り喧嘩になってしまうでしょう。だから他人の悪口を言うのは仲が悪くなるだけであり、録な事にはなりません。が又、他人の悪口を止められない私です。ですから悪人であると言う自覚は他人との間で内感・内省する以外無いと思います。これが私が体験した、おこがましくも悪人正機のお話しです。合掌、ナンマンダブ ナンマンダブナンマンダブ。


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