掃除
お釈迦さまに周利槃特(しゅりはんどく)というお弟子さんがいました。
しかし、自分の名前が書けませんし、呼ばれても誰のことか分かりません。
お釈迦さまが名札を首から掛けられたのですが、そのことも忘れてしまうほどでした。
当然、お釈迦さまの説法を聞いても、すぐに忘れてしまいます。
しかし、悟りをひらきたいという強い心を持っていました。
そこでお釈迦さまは、彼のために掃除という修行を教えました。
一本のホウキを与え、「塵を払い、塵を除かん」と唱えさせました。
掃除を続けて数年が経った頃、周利槃特はお釈迦さまに尋ねます。
「悟りをひらいたでしょうか」
お釈迦さまは「いや、ひらいていない」と答えます。
そして、周利槃特は黙々と掃除を続けました。
そんなある日のこと。
せっかく掃除した所を子どもたちが遊んで汚してしまいます。
「こらっ!」
と周利槃特はホウキを振り上げ怒鳴りました。
と、その瞬間、「あ、そうか、本当に汚れていたのは私の心であった。掃除は私の心をきれいにするためであった」と気づき、悟りをひらいたそうです。
そして、お釈迦さまは周利槃特が一心に掃除している姿に手を合わせ拝み、見守っていたそうです。
掃除を少しでも毎日してみませんか。
掃除を毎日するということは、継続することの大切さを実感できる修行にもなります。
浄土真宗は修行は必要ないとは言いますが、悟りをひらくというよりは自分を磨く為に修行(六波羅蜜の精進)するのは素敵なことではないでしょうか。
掃除した所はきれいになり、それを見た人の心もすがすがしくなり、自分の心もきれいになります。
皆さん、お墓参りの際、お墓のお掃除も忘れずに。
きっと心が晴れやかになります。そしてご先祖様も誇らしく見守って下さるのではないでしょうか。